いのちの記憶が色づく、言葉のない物語
紫縞のショート丈のオーバーオールを着た一人の女の子が、モノトーンの静かな自然史博物館を訪れます。館内には、かつて大地を駆け巡っていた動物たちが、剥製となってガラスケースの中にひっそりと展示されていました。女の子が館内を巡っていると、どこからか不思議なオレンジ色の光が漏れ出している扉を見つけます。そっとその扉を開けた瞬間、博物館は魔法にかかったように色づき始め、止まっていたはずの動物たちの時間が動き出します。
剥製という形で「死」と向き合う場所に、作者は組み合わせの難しい色である紫とオレンジの色彩をうまく注ぎ込み、動物たちに束の間の自由と生命を吹き込みました。言葉のない絵本だからこそ、動物たちの柔らかな毛並みや、女の子と心を通わせる静かな躍動感が、見る人の心に直接語りかけてきます。命の尊さと、失われたものへの優しいまなざしが詰まった、幻想的で美しい一冊です。
【著者略歴】
바림(バリム)【作・絵】
2014年にフランスに渡り、エピナル芸術大学で表現デザイン、イメージ、ナレーションを学ぶ。2018年に卒業。2022年には現代児童書美術館が主催した「Un-printed Ideas」に選出され、本書『博物館で』を展示した。他の著作として、フランスで児童書『Depart en Vacances』を、韓国で『クマの料理人』を出版した。
【本の情報】
出版社:봄볕, 2023
ページ数:63ページ
大きさ:287×194×13mm (553g)
ISBN:9791190704885